『信長協奏曲』映画:無料視聴:あらすじ:みどころ
- kame kame
- 2021年11月28日
- 読了時間: 6分
更新日:2021年12月26日
『信長協奏曲』、石井あゆみによる漫画を原作に、ドラマ・映画化した作品。所謂タイムスリップ物であり、散々映像化されてきた織田信長を主軸に置いたストーリーだが、そこに潜む人間ドラマや痛快な展開に目を離せなくなる不思議な作品だ。

今回は2014年の連続ドラマに続き2016年に公開された映画『信長協奏曲』について紹介する。
【あらすじ】
勉強が苦手な高校生サブロー(小栗旬)は、ひょんなことから何故か戦国時代にタイムスリップしてしまう。そこで出会った、自分の容姿と瓜二つだが病弱な本物の織田信長に頼まれ、信長として生きていくことに。
史実を知らぬ為、歴史の教科書を参考にするがあまり物事にこだわりがないのか自然体で生活しているサブローは、当初闘いにも慣れておらず血を見るのも怖がっていた。
しかし、いざという時には奇想天外な方法で窮地を乗り切り、不思議と史実通りに事が運ぶ。その戦果から次第に家臣達からの信頼を勝ち取り、様々な出会いと別れを繰り返しながら戦の無い平和な世の中を目指して躍進していく。
そして劇場版では、ついに安土城を築き天下統一と戦の無い平和な世の中を目前にしたサブローだったが相変わらず歴史に疎い為、自身=信長が間もなく死ぬことを知らなかった。史実を教えられ落胆するが、帰蝶(柴咲コウ)や慕ってくれた家臣達の為にどうするべきなのか、そして自身の死について向き合うことになる。
一方、秀吉は明智と手を組み着々と復讐の計画を進めていく…。

【登場人物:キャスト】
サブロー/織田信長:小栗旬
┗勉強が苦手な普通の高校生だったが、突如戦国時代にタイムスリップし、さらには瓜二つの織田信長として生きていくことになった主人公。独創的なアイデアで窮地を乗り切るが、偶然にもそれが史実と重なり歴史を変えずに済んでいる。
人間臭く、戦国時代の帰蝶や仲間達に対して現代っ子な発想で接していくうちに、次第に慕われる存在となっていく。
劇場版ではタイムスリップから年月も経ち、織田信長として立派に家臣達をまとめていた。しかし相変わらず歴史に乏しい為か本能寺の変を知らぬままであった。
織田信長/明智光秀;小栗旬(二役)
┗本物の織田信長。聡明であるが病弱だった為、織田家を出る際に偶然出会ったサブローに織田信長を託した。その後明智光秀を名乗り、力になる為サブロー達に合流。
帰蝶や家臣の信頼を得ていくサブローに嫉妬心を抱き一時秀吉と手を組むも、サブローに助けられた事で改心。再びサブローの力になる事を誓う。
帰蝶:柴咲コウ
┗信長の正室。斎藤道三の娘。本物の織田信長とは不仲であったが、サブローには惹かれている。気が強くいつもサブローと口論をしている。しかし誰よりもその身を案じ、サブローを想っている。
劇場版ではサブローが信長ではなく未来から来た人間と知らされるが、彼に寄り添い妻としての役目を全うする。
羽柴秀吉:山田孝之
┗今川義元の間者で商人になった木下藤吉郎を殺し、その名を名乗る。織田信長に強い恨みを持ち、復讐
の為に織田家に潜り込み暗躍しながら出世し、後に羽柴秀吉と名乗るようになる。
明智光秀と手を組み着々と復讐の計画を進めていく。
池田恒興:向井理
┗織田家家臣。サブローと出会った当初は暗殺を計画するなどしていたが、サブローに切腹を止められて以降忠誠を誓い、補佐としてサブローを支える存在となる。
前田利家:藤ヶ谷太輔(Kis-My-Ft2)
┗織田家の家臣。柴田勝家に仕官した若者。
市:水原希子
┗信長の妹、サブローに懐いている。恒興の幼馴染。
徳川家康:濱田岳
┗見るからに人のよさそうな外見と裏腹にかなりの好色。サブローと仲が良く、過去に貰ったエロ本を大切にしている。
松永弾正久秀:古田新太
┗大和の大名で、サブローと同じ未来人。現世ではヤクザだった。
柴田勝家:高嶋政伸
┗元は信行側の人間だったが、サブローの器の大きさを目の当たりにして以降は信長側についた。
竹中半兵衛:藤木直人
┗織田家の家臣。頭脳明晰、冷静沈着な美青年。

主演はドラマ「日本沈没」での好演や映画「銀魂」などの実写シリーズの出来栄えにも定評のある小栗旬。ドラマシリーズでは高校生としての幼さや純粋さ、映画版では武将として成長した立ち振る舞いや変わらぬ純真さを見事に表現した。更には本物の織田信長(明智光秀)との二役もこなし、それぞれの表情の違いを見せ付けている。
また、豪華絢爛な脇役達の中で一際輝いているのは羽柴秀吉役の山田孝之だと言えよう。劇場版に至るまでに他の家臣やヒロインの帰蝶(柴咲コウ)らはサブロー(織田信長)に心を開いている為、コミカルなシーンも多分にあるが、羽柴秀吉(山田孝之)だけは復讐心に燃え暗躍している。終盤まで主人公サイドとは相容れない、それぞれの正義を信じ貫き通す様は非常に見応えがあった。
【原作】
石井あゆみ:『信長協奏曲』(小学館)
「ゲッサン」(小学館)で2009年~2021年現在連載中の漫画。第57回小学館漫画賞少年向け部門を受賞。全国書店員が選んだおすすめコミック2012年では7位。
2014年にフジテレビ開局55周年プロジェクトとして、テレビアニメ・実写ドラマ・実写映画の3媒体を同時企画、随時展開した。
未完作品の映像化ともあって原作とはシナリオや登場人物にも多少の変更はあるが、気にする事もなく視聴できるドラマに仕上がっている。
【見どころ】
『信長協奏曲』は、意外とメッセージ性の強い作品だと感じている。基本的でありながら、生きていく上で最も大切な物を改めて伝えているのではないかと考える。
テレビドラマ版では、タイムスリップしたサブローが信長として成長していく様を描き、普通の現代人と戦国時代の武将達との価値観の違いをコミカルに時にはシリアスに表現している。人が生きる意味や死に対しての価値を自分なりの言葉で説く主人公は織田家家臣を中心に賛同を得ていき、天下統一という目標も次第に「戦の無い平和な世の中」を作る為と成り代わっていく。偶然にもサブローの思い付きは従来から奇想天外と言われた歴史上の織田信長と同じ結果を生み、歴史改変は起きずに済んでいるという内容だ。
そして劇場版では天下統一を目前にして自身の死と向き合うことになった主人公だが、生き抜くことを諦めず最後まで足掻き続け、愛する人々の為に出来る最善の努力を尽くすことになる。その姿は、日常では忘れがちな”当たり前”な事であり多くの人が共感する事だろう。
お調子者で抜けたところのある主人公が徐々に勇ましく頼れる人間になっていくを是非その目に焼き付けて頂きたい。

【おわりに】
時代劇やタイムスリップの作品が数多存在する中で、さらに題材にされやすい織田信長。今作もそのカテゴリに入るベタな作品の一つなのかもしれない。しかし言い換えれば、キャラクター達の個性や感情が非常に伝わりやすく、作中の雰囲気動揺に泣いたり笑ったり出来るまさに王道エンターテインメントだ。
多くの人が共感しやすい王道作品を、一流の俳優陣やスタッフの手によって高い完成度で制作された今作を是非オススメしたい。






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